こんにちは!千葉県で犬のしつけトレーニングをしている、inuaの佐藤です。
「しつけは厳しくしないとダメ?」
「優しくすると甘やかしになるの?」

そんな迷いを持つ飼い主さんに知ってほしいのが、国際的に推奨されている LIMA(Least Intrusive, Minimally Aversive)という考え方です。
この記事を読むと…
- LIMAの意味と世界的な位置づけ
- どんな時にどんな方法を選べばいいか
- 今日から取り入れられる優しいしつけのステップ
がわかります。愛犬との信頼関係を守りつつ、行動改善を目指しましょう。
LIMAとは?(基本解説)
LIMAは「Least Intrusive, Minimally Aversive」の略。
直訳すると「最も侵襲性が低く、嫌悪感を最小限に抑えた」アプローチです。
簡単に言うと…
犬に負担や不快感をできるだけ与えない方法から試し、それで十分な結果が出るなら、もっと強い方法は使わない。
これは世界中の動物行動学会やプロトレーナー団体が採用している倫理的なガイドラインです。
なぜLIMAが大切なのか
- 安全性:痛みや恐怖を与える方法は副作用(攻撃性・不安)のリスクが高い
- 信頼関係:罰や脅しで作る服従は、一時的でも信頼を損なう
- 学習効率:犬は安心しているときのほうが学習が早い
LIMAの実践ステップ(順序の考え方)
LIMAでは、以下のような順でトレーニング方法を選びます。
- 環境を整える(管理)
問題が起きにくい状況を作る。例:苦手な場所を避ける、距離を取る。 - 望ましい行動を教える(正の強化)
欲しい行動が出たらご褒美で強化。例:落ち着いて座ったら褒める。 - 代替行動の提示
困った行動の代わりにできる行動を教える。例:吠える代わりにマットに座る。 - 最小限の嫌悪刺激(最後の手段)
犬自身や周囲の人間の安全確保や命に関わる場合のみ、一時的かつ最小限に使用。例:飛び出し防止のためのハーネス制御。
🐾 実際の事例:室内から外の人に吠える犬
この記事で紹介するLIMAアプローチは、屋外でのリアクティビティだけでなく、室内での過剰反応行動にも応用できます。
例:室内から外を歩く人に吠える犬
このケースでは、外の人が犬にとってのトリガーになっています。
(※トリガーと閾値については 👉 第1回:原因と向き合い方 参照)
1. 管理(環境を整える)
- 窓際から外が見えないよう、カーテンやすりガラスフィルムで視界を遮る
- 犬が外の動きを監視しにくい配置にベッドやケージを移動する
2. 正の強化(望ましい行動を増やす)
- 外を人が通っても静かにしていたら、その瞬間におやつ+褒め言葉
- 「静かにしている=良いことが起こる」と学習させる
3. 代替行動の提示
- 「マット」のキューで指定の場所に行き、落ち着いて休む行動を教える
- 外の人が通るたびに、飼い主のそばに来ることを習慣化する
4. 最小限の制御(必要時のみ)
- 反応が強く出る日は別の部屋に移動して刺激を避ける
- 吠える練習にならないよう「成功しやすい状況」を作る
💡 この流れを積み重ねることで、「外の人=吠える対象」から「良いことが起こる前触れ」へと認識が変わります。
家庭内のリアクティビティ改善にも、外でのアプローチと同じく管理+正の強化+代替行動の3本柱が有効です。
(詳しい強化の方法は 👉 第2回:改善の基本原理と家庭スキル を参照)
LIMAで避けたいこと
- チョークチェーン、プロングカラー、電気ショックなどの強い嫌悪刺激を第一選択にする
- 叱責や威嚇で行動を抑え込む(副作用リスク大)
今日からできるLIMA式しつけチェック
- 行動改善を始める前に「もっと優しい方法はないか?」と自問する
- ご褒美の種類と価値を見直す(その場で食べたくなるレベルか?)
- 問題行動を予防できる環境づくりはできないか考える
まとめ
LIMAは「優しさ」と「科学的根拠」を両立したしつけの考え方です。
強い手段に頼らず、最も負担の少ない方法から始めることで、犬も飼い主も安心して学びを積み重ねられます。
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