コラム 犬のQOLを高める

犬の5つの自由 とは?――愛犬の幸せを守るアニマルウェルフェアの基本

こんにちは。
千葉県で犬のしつけトレーニングを提供している、inuaの佐藤です。

この記事では、近年ますます注目されている「アニマルウェルフェア(動物福祉)」の基本である
「5つの自由」について解説します。

「犬にとって幸せって何だろう?」
「うちの子のために、もっとできることがある気がする…」

そんな飼い主さんに向けて、
“犬が心身ともに健康に、安心して暮らせる環境”を整えるための視点をお伝えします。


アニマルウェルフェアとは?

「アニマルウェルフェア(Animal Welfare)」とは、
動物が身体的にも精神的にも健康で、幸福な状態にあることを目指す考え方です。

・清潔な環境で暮らせているか?
・十分な食事や水が与えられているか?
・不安や恐怖を感じていないか?

――ただ「かわいがる」だけでは不十分。人間の都合や感情ではなく、
動物側の視点で “福祉が満たされているか” が大切なのです。

その基準となるのが、世界中で採用されている「5つの自由」です。


犬の「5つの自由」とは?

「5つの自由」は、1960年代にイギリスで提唱され、
今では国際獣疫事務局(OIE)や多くの福祉団体が正式に採用しています。

1. 空腹や渇きからの自由

(Freedom from Hunger and Thirst)

  • 栄養バランスのとれた食事と、新鮮な水がいつでも手に入ること
  • 食欲の変化や水分摂取量にも日々注意を

2. 苦痛・負傷・病気からの自由

(Freedom from Pain, Injury and Disease)

  • 定期的な健康チェックやワクチン接種
  • 痛み・かゆみ・不快感に早く気づける観察力も大切

3. 恐怖や不安からの自由

(Freedom from Fear and Distress)

  • 大きな音・叱責・孤独・過度なストレス環境を避ける
  • 安心できる「居場所」や「関係性」を持てること

4. 不快からの自由

(Freedom from Discomfort)

  • 温度、湿度、風通しなど、快適な生活空間の整備
  • 暑さ寒さに弱い犬種への配慮、寝床の清潔さも重要

5. 自然な行動を表現する自由

(Freedom to Express Normal Behavior)

  • 十分な運動、探索、遊び、人や他犬との交流
  • 本来の本能を発揮できる環境が、犬の幸福度を高める

しつけとアニマルウェルフェアの関係

「しつけ」と聞くと、犬に我慢をさせたり、ルールを教え込むイメージがあるかもしれません。

でも本来のしつけは、
犬が人間社会で安心して暮らせるよう“自由”を守るためのものです。

たとえば――

  • 吠えが原因で自由に窓辺にいられない
  • 飛びつきで外出できず、散歩の自由が奪われている

こうした問題行動を改善することで、
犬はより多くの場所・時間・行動の“自由”を手に入れることができます。


今すぐできる、愛犬の「自由」を守る工夫

✅ 毎日のルーティンを見直してみる
✅ クレートや寝床の環境は清潔で安心?
✅ 一緒にいる時間、ふれあいの質はどう?
✅ 散歩以外にも、五感を使った遊びはできている?

こうした小さな積み重ねが、
あなたの愛犬の「福祉レベル」を上げる鍵になります。


おわりに

アニマルウェルフェアの考え方は、
「しつけ」や「暮らし方」を見直す上でとても役立つ指針です。

愛犬がもっと安心して暮らせるように、
“5つの自由” を日々の中で意識してみてください。

必要であれば、専門家と一緒に環境や接し方を見直すことも選択肢の一つです。

あなたと愛犬の毎日が、もっと自由で、もっと豊かなものになりますように。

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