こんにちは!千葉県で犬のしつけトレーニングを提供している、inuaオーナーの佐藤です。

愛犬との楽しい散歩のはずが、、、
他の犬を見て吠えたり唸ったり、時には飛びかかろうとしたり。こうした「リアクティビティ」と呼ばれる行動に、困っていませんか。
「周りの人に申し訳ない」
「散歩が憂鬱...」
そんな風に感じてしまうのはとても辛いことです。
そんな飼い主さんの悩みが少しでも軽くなるように、これから3回に分けてリアクティビティについて書いていきたいと思います。
このブログでは、まず犬のリアクティビティとは何か、そしてなぜそのような行動をとってしまうのか、その根本的な原因について一緒に考えていきましょう。
リアクティビティとは? ただの「悪い癖」ではない
リアクティビティとは、散歩中に出会う他の犬や人、自転車など、日常にある特定の刺激(トリガー)に対して、犬が過剰に反応してしまうことを指します。具体的には、以下のような行動が見られます。
- 激しく吠える
- 唸る
- リードを強く引っ張る
- 飛びかかる
- 身をすくめて隠れようとする
- パニックになる
これは、必ずしも相手を攻撃しようとしているわけではありません。多くの場合、その行動の根底には恐怖、不安、フラストレーション(欲求不満)、あるいは過度の興奮といった感情が隠れています。リードにつながれて行動を制限されている状況下で、犬が自分の感情をあふれさせている状態、と考えると分かりやすいかもしれません。
犬にとって吠えることは大切なコミュニケーション手段の一つです。それを単なる「問題行動」や「悪い癖」と決めつけず、「なぜこの子は今、こんなに強く反応しているんだろう?」と、その背景にある感情に目をむけることが、改善への大切な第一歩となります。
なぜリアクティビティが問題になるのでしょう?
リアクティビティは、犬自身にとっても、飼い主さんにとっても大きなストレスとなります。
- 犬にとって:
常に警戒し、恐怖や不安、興奮状態にさらされることで、心身ともに疲弊してしまいます。 - 飼い主さんにとって:
散歩中に常に気を張り、周囲に気を遣い、時には危険を感じる。愛犬との時間が苦痛になってしまうこともあります。
さらに、リアクティビティを避けるために散歩の回数や時間を減らしたり、他の犬との交流を諦めたりすると、犬の社会性や運動の機会が奪われ、生活の質(QOL) を大きく低下させてしまう可能性もあります。
根本的な原因を探る:何が引き金になっているの?
なぜ犬はリアクティブな行動をとるのでしょうか?主な原因として、以下のようなものが考えられます。
- 恐怖・不安・防御:
⚪︎ 子犬期の社会化不足(他の犬や人、様々な環境に慣れていない)
⚪︎ 過去の嫌な経験(他の犬に攻撃された、人に怖い思いをさせられたなど)
⚪︎ 見慣れないものへの警戒心
⚪︎ 吠えることで、怖い対象から距離をとろうとする
⚪︎ サイン:耳を後ろに倒す、尻尾を下げる、体を低くするなど - フラストレーション・興奮:
⚪︎ 「他の犬に接近したい、挨拶したい!」という欲求を、リードで止められて近づけないことへの苛立ち
⚪︎ サイン: 尻尾を高く振る、体を前のめりにするなど一見ポジティブに見えるが、興奮しすぎている状態。 - 縄張り意識・保護行動:
自分のテリトリーや飼い主さんを守ろうとする本能的な行動。 - 学習された行動・要求吠え:
過去に吠えたことで、怖いものが去っていった、あるいは飼い主さんが注目してくれたなどの、犬にとって「望ましい結果」を得た経験から、「吠えればいいことがある」と学習してしまったケース。 - 社会的に促進される吠え:
近くにる他の犬が吠えているのにつられて吠えてしまう。 - 医学的な問題・痛み・不快感:
身体のどかに痛みや不調があると、刺激への耐性が低くなり、普段なら平気なことにも過剰に反応しやすくなることがあります。行動がおかしいと感じたら、まずは動物病院で健康状態をチェックしてもらいましょう。
これらの原因は、一つだけではなく、複数が関係しあっていることがほとんどです。
例えば、「社会化不足で他の犬が怖い」と感じている犬が、「吠えたら相手が遠ざかった」という経験をすることで、「吠える = 安全」と学習してしまう、といった具合です。
重要なポイント:トリガーと閾値(いきち)を理解する
リアクティビティー改善のために最も重要なのが、あなたの愛犬が「何に対して(トリガー)」、「どのくらいの刺激で(閾値)」反応するのかを、正確に把握することです。
トリガーの特定:
・何に対して反応しますか?(例:大型犬、男性、子供、自転車、バイクの音など)
・具体的にリストアップしてみましょう
閾値の理解:
・犬がまだ冷静でいられる状態と、反応し始めてしまう境界線のことです。
・この閾値は、トリガーとの距離、トリガーにさらされる時間、トリガー自体の強さ(大きさ、音、動きの速さ、数など)によって常に変動します。
・また、その日の犬の体調などによっても変わります。
愛犬が閾値に近づいているサイン(ボディーランゲージ)を早めに読み取ることが、反応を未然に防ぐ鍵となります。吠えたり飛びかかったりする前に見られる、以下のような微妙なサインに気づけるようになりましょう。
- 唇をぺろっと舐める
- あくびをする
- 身体が硬まる、動きが止まる
- 一点をじっと見つめる(凝視)
- 耳が後ろに倒れる、またはピンと立つ
- 白目が見える(ホエールアイ)
- 尻尾が下がる、または逆に硬直する
これらのサインは、犬がまだ落ち着いている状態から、警戒やストレスが高ま離始めている状態に入りつつあることを示しています。この段階で気づき、適切に対処できれば、パニック状態に至るのを防ぐことができます。
まとめ
今回は、犬のリアクティビティとは何か、その原因、そして改善のために不可欠な「トリガー」と「閾値」の理解についてお話ししました。
愛犬の行動の裏にある感情や原因を知ることが、解決への第一歩です。
次回は、これらの理解をもとに、具体的にどのようにリアクティビティを改善していくのか、そのためのトレーニングの基本原理についてお話しします。
今日は、「【犬の悩み】吠える・唸るのはなぜ?「リアクティビティ」の原因と向き合い方」というブログでした。
いつも、ご覧いただきありがとうございます。