犬と暮らすということは、楽しいことの連続だと思っていました。
映画やSNSで見るような、優雅で穏やかな日々──それが僕の理想でした。
ところが、現実はまったく違いました。
理想と現実のギャップ

ノア(イングリッシュ・コッカー・スパニエル)を迎えてすぐの頃は、毎日が手探りでした。
ネットや本で調べたしつけ方法をいくつ試しても、思うようにいかない。
焦りや戸惑いが積もり、気づけばノアに対してイライラをぶつけてしまう自分がいました。
そんな僕に対しても、ノアは変わらず尻尾を振り、目を見つめてくれました。
その瞬間、「このままではいけない。本当に良い関係を築きたい」と強く思ったのです。
行動には必ず理由がある
僕はもともと、医療や福祉の現場で20年以上、作業療法士として働いてきました。
そこで大切にしてきたのは、“心と身体(目に見える行動)を大切にする”という視点です。
犬も同じでした。
吠える、動かない、落ち着かない──それは偶然の行動ではなく、何かのきっかけと結果の積み重ね。
後に学んだ「応用行動分析学(ABA)」では、行動を
- きっかけ(Antecedent)
- 行動(Behavior)
- 結果(Consequence)
の3つに分けて考えます。
この視点を持つことで、「どうして?」が「そうだったのか」に変わり、感情的に叱ることが減っていきました。
ノアがくれた一番大きな学び
ノアとの生活を通して知ったのは、「犬を愛している」ことと「犬を理解している」ことは別だということです。
愛情だけでは解決できないこともあります。
でも、行動の背景を理解し、その子に合った方法を選べば、犬も人も少しずつ変わっていきます。
そして、不思議なことに、犬の変化は飼い主である自分の変化でもありました。
イライラや不安が減り、一緒にいる時間そのものが心地よくなっていったのです。

読者のあなたへ
もし今、愛犬との暮らしに戸惑いや悩みがあるなら、まずは「なぜこの行動をしているのか?」と考えてみてください。
それが分かるだけでも、接し方や気持ちが少し変わるはずです。
犬と人は、お互いに影響を与え合いながら暮らしています。
ノアが僕を変えてくれたように、きっとあなたの愛犬も、あなたの毎日を変えてくれるはずです。
”時間はかかりますが、悩みや問題は最小限にできます”
もし「この行動の理由が分からない…」と思ったら、気軽に話してください。
誰かと一緒に考えることで、きっと糸口が見えてきます。