コラム

「道草」をしない犬なんて。匂いを嗅ぐ、ということの本質。

愛犬との、穏やかで息の合った散歩。

自分の時間が持てるようになり、やっと迎えた愛犬と、そんな「心地の良い暮らし」を夢見ていたかもしれません。

現実は、どうでしょう。

散歩の途中、愛犬は地面に顔をつけたまま動かなくなる。

あなたが「行こうよ」と焦れば焦るほど、彼はグイグイとリード引っ張り、別の匂いへと突き進む。

日常の散歩さえ苦痛になっていく。
どこかで見て憧れた、あの穏やかな時間はどこにもない。

「私のしつけが悪いんだろうか....」

理想と現実のギャップに、ひとりで自信を失っていませんか。

でも、ぼくは思います。

犬が匂いを嗅ぐのは、叱られるような「悪いこと」でも、「問題行動」でもない。

それは、彼らがこの世界を理解するために不可欠な、「呼吸」と同じくらい大切な営みです。

ぼくらは、ものを見ます。
犬は、匂いを読みます。

ぼくらが朝、テレビを見たり、スマホでニュースをチェックするように、彼らは地面に残された匂いから、「昨日の夜、あそこの角で何があったか」「誰がここを通ったか」という情報を読み解いています。

それは彼らにとって、この世界を知るための唯一無二の「読書」の時間です。

もしあなたが、夢中になって読んでいる本を、誰かにいきなり奪い取られたら、どう感じるでしょう。

きっと、不機嫌になったり、不安になったりするはずです。

YouTubeで見かける「叱らないしつけ」を試しても、愛犬が興奮するばかりで一向に改善しないとしたら。

それは、愛犬が「悪い子」だからでも、あなたのやり方が「間違っている」からでもありません。

ただ、彼にとってこの世界が「未知」のままだから。

匂いを嗅いで「大丈夫、ここは安全だ」と納得する前に歩かされるから、不安で、過剰に反応してしまう。

それが、「興奮」や「吠え」の引き金になっていることも少なくないんです。

inuaは、犬の「犬らしさ」を、人間の都合に合わせて無理やり矯正する事をしません。

それは、使い込むほどに味が出るはずの無垢材のテーブルに、傷ひとつ無い完璧さを求めるようなものだから。

犬は、匂いを嗅ぐ生き物です。
その本質を受け入れ、尊重すること。

それが、ぼくが考える、愛犬との「心地よい暮らし」を取り戻すための第一歩です。

もちろん、安全管理は必要です。

除草剤が撒かれた場所や、危険なものが落ちている場所は避けなければいけません。

大切なのは、「やめさせる」ことではなく、「付き合い方」を見つけること。

だからinuaでは、トレーニングの第一歩として、

「今は、思う存分、匂いを嗅いでいいよ」という時間と、「今は、一緒に歩こうね」という時間。

このふたつの「シンプルな約束事」を、犬と飼い主さんが一緒に学んでいくことを大切にしています。

あなたと愛犬が本当に手に入れたいのは、休日の午後、足元で愛犬が静かに昼寝をしている、そんな穏やかな時間ではないでしょうか。

愛犬との暮らしを、もう一度「楽しい」と思えるように。

そのための「なぜ」を一緒に見つけていきましょう。

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